〒177-0051 東京都練馬区関町北2-29-14ドエール武蔵関2階
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開業医(医業または歯科医業の個人)が、社会保険診療報酬については実額ではなく一定割合(概算)で必要経費を計上できる特例です。
目的は、小規模医療機関の経営安定と医療提供の継続性の確保。要件を満たす年に選択適用できます。根拠は租税特別措置法26条です。
対象者:医業または歯科医業を営む個人。
金額要件(その年):
社会保険診療報酬が5,000万円以下
医業・歯科医業から生ずる総収入金額が7,000万円以下
※いずれか超なら特例不可。
※「社会保険診療」の範囲:健康保険・国保・後期高齢者医療、共済、生活保護の医療扶助等の法に基づく療養や給付、訪問看護等を含みます。
法文上は、社会保険診療報酬を区分し各階層に経費率を掛けて合計します(いわゆる四段階制)。割合は以下のとおり。
2,500万円以下…72%
2,500万円超~3,000万円以下…70%+50万円
3,000万円超~4,000万円以下…62%+290万円
4,000万円超~5,000万円以下…57%+490万円
社会保険診療分は上記の概算経費に置き換え、自由診療分は実額経費をベースに共通経費を按分して求めます。その際、概算で計上した保険分と実額の差を「措置法差額」として調整します(国税庁の付表に具体的な手順が掲載)。
ステップ(要点)
収入の内訳(保険/自費)を記載。
自由診療割合を「診療実日数」または「収入割合×調整率」で算出(自費の単価が高く出やすいので収入割合は調整率を掛ける規定あり)。
共通経費を上の割合で自費へ按分。
保険分の実額経費と概算経費の差=措置法差額を計算し、付表・申告書に反映。
申告書第二表の「特例適用条文等」欄に『措法26』と明記。
例)その年の社会保険診療報酬=3,500万円
→ 概算経費(四段階制)=3,500万×62% + 290万 = 2,460万(概算)
帳票・仕訳の簡素化:保険分は実額ではなく割合計算でOK。
税負担の安定化:一定規模までの小規模医療機関の負担平準化に資する制度設計。
申告上の明確な手順が公開:国税庁の付表・記載要領があり、按分・差額処理まで道筋が定められています。
「5,000万/7,000万」の壁:1円でも超えると適用不可。
実額の方が有利なケースも:高額の人件費・減価償却が保険診療側に偏る場合、概算より実額の方が経費が大きい可能性。事前試算が必要。
記載漏れに注意:確定申告書に特例適用の記載が必要
青色申告特別控除額の計算:概算経費の適用を受ける場合には社会保険診療報酬に係る所得金額を除外したところから控除
Q. 自由診療が多い年でも使えますか?
A. 条件は保険診療報酬≤5,000万かつ医業収入総額≤7,000万。満たす限り、保険分は概算・自費分は按分した実額で処理します。
Q. 申告書では何を添付・記載しますか?
A. 医師・歯科医師用の付表で按分・差額を計算し、申告書第二表に『措法26』と記載します。
Q. 医療法人にも同じ趣旨の特例はありますか?
A. はい。法人版は措置法67条です(役員報酬を支給するので概算経費有利になることは少ないです)
要件(5,000万/7,000万)を満たす年は、保険分を概算経費、自費分は按分実額で申告できる。
ただし、実額>概算となるケースもあるため、「概算 vs 実額」を毎年事前シミュレーションして有利判定を。
弊所では実額と概算経費のシュミレーションを行っております。保険診療をメインとする医科・歯科のクリニックさんで減価償却費が少なくなってきた場合には概算経費が有利になることが多いです。
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