決算期の決め方を税理士が解説

はじめに

 

「決算期」は、いつを区切りに成績を締めるかを定める重要事項です。

決算月によって、業務負荷・資金繰り・税務計画・届出時期が大きく変わります。

この記事では、医療法人の決算期を実務で失敗しない決め方を整理します。

決算期とは?基本のおさらい

 

  • どこで決める?定款で定めます。

  • いつでも変えられる? … 変更は社員総会の決議(定款変更)が必要。なお医療法人の場合は都道府県へ定款変更の認可申請と承認が必要。その後税務署・都道府県税事務所・市区町村などへ届出。

  • 確定申告期限は? … 原則、決算日の翌日から2か月以内に法人税・地方法人税・法人住民税・事業税・消費税の申告納付(※一部、要件により申告期限延長の特例あり)。

  • 資産総額変更登記の提出期限は? 事業年度末から3か月以内に医療法人の所在地を管轄する法務局に提出

決算月の選び方:7つの判断軸

 

1. 繁忙期を避け、閑散期に置く

棚卸・売掛回収・決算資料集めを落ち着いてできる月が理想。決算予測も立てやすくなる。

  • 3月・12月は患者動向や繁忙でタイトになりがち。

2. 棚卸のやりやすさ

在庫が少ない月ほど棚卸差異が出にくく、締めも早い。

  • 仕入がピークを過ぎる月/在庫が薄い月を狙う。

3. 資金繰りと納税タイミング

申告・納税は決算後2か月前後に集中。売上入金の多い月に合わせると負担が軽い。

  • 例:決算を9月にすると、納税は11月頃。資金の山と谷を見て決める。

4. 役員賞与・決算賞与との整合

役員賞与の損金算入(事前確定届出)や、決算賞与の支給・引当の設計に影響。

  • 評価面談・賞与決定の時期と合わせると制度運用がスムーズ。

 

5. 金融機関・補助金・監査対応

  • 補助金や交付金は事業実施期間と報告書〆を確認。決算とバッティングすると事務が逼迫。

6. 消費税の“基準期間・特定期間”の影響

  • 課税事業者判定は「前々期(基準期間)」、または「前期(特定期間)の上半期売上・給与」で決まる。

  • 創業期や期変更で期間長短が変わると判定に影響するため、予定と突合して決める(安易な短期化・長期化は要注意)。

7. 社内の年間行事・人事イベント

  • 入社・退職が固まりやすい時期、年度替わり(4月)、定期昇給・定時改定(社会保険の定時決定は4–6月の報酬)など、人事イベントとの重複も負荷要因。

 

新設法人のコツ

 

1) 初年度は短期/長期事業年度を意識

医療法人は設立申請が基本的に年に2回しかないため都道府県ごとに設立月もおおよそ固定。

設立日から最初の決算日までが初年度。

  • 初年度の月数次第で売上・利益の区切り消費税判定が変わる。特に消費税の特定期間に該当すると翌期から消費税納税になる可能性があるので自費が多いクリニックは要注意。

2) 資金調達・助成金のスケジュールと整合

  • 決算書が銀行の与信材料。融資や出資ラウンドの直前に決算があると、情報の鮮度・説明効率が高い。

3) 会計体制が整うまでの負荷分散

  • 創業初期は体制が未整備。オフピークの決算月で負荷を平準化することも。

まとめ

 

  • 決算期は実務負荷・資金繰り・税務計画を左右する最重要設定。特に初年度の月数次第で消費税の納税に影響あることも。医療法人は設立日が固定化されがちなのでそこから月数で逆算も。

  • 基本は繁忙期を避け、棚卸しやすい月を選ぶ。

  • 期変更時は、医療法人の場合、都道府県認可申請→定款変更→税務届出の順で。消費税判定に注意。

「うちの売上構成・人員構成だとどの月が最適?」は個別に異なります。棚卸や入金サイクル、補助金や金融機関の提出タイミング、消費税の判定を並べると納得感のある決算月が見えてきます。

弊所では医療法人の設立から決算月のアドバイスや決算期変更の手続きも行っています。ぜひお気軽にお問い合わせください。

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