倒産防止共済のメリット・デメリットを税理士が解説

はじめに

 

倒産防止共済(経営セーフティ共済)は、取引先が倒産して売掛金の回収が困難になったときに、無担保・無保証人で迅速に資金を借りられる中小機構の制度です。掛金は損金(法人)・必要経費(個人事業)に算入でき、資金繰りと節税の両面で役に立ちます。

制度の概要

・加入資格:中小企業者で引き続き1年以上事業を継続していること(業種ごとに資本金・従業員数の要件あり)。医療法人など一部は対象外。

 

掛金:月額5,000円~200,000円(5,000円単位)、積立限度は800万円。途中の増減・前納も可能。口座振替は原則毎月27日。

 

共済金貸付:回収困難額の範囲で、掛金総額の10倍(上限8,000万円)まで、無担保・無保証人で借入可。

 

一時貸付金:取引先が倒産していなくても、解約手当金の95%を上限に借入可。

 

解約手当金:自己都合解約でも12カ月以上で掛金総額の8割以上40カ月以上で全額が目安(12カ月未満は掛け捨て)。

倒産防止共済のメリット

 

1. 掛金が全額損金(必要経費)で節税

 

支払った掛金は原則、法人なら損金、個人事業なら必要経費に算入可能。資金を積み立てながら当期の税負担を抑えられます。

 

2. 倒産時に迅速な資金調達ができる

 

無担保・無保証人で、掛金総額の最大10倍(上限8,000万円)まで借入可。手続きも倒産の確認後、迅速に進みます。

 

3. 一時貸付金で平時の資金繰りにも対応

 

取引先が倒産していなくても、解約手当金の95%まで借入できる「一時貸付金」を用意。運転資金のつなぎに活用できます。資金の流動化にも役立つ。

 

4. 利子は原則ゼロ

 

共済金貸付は無利子ですが、借入額の10%が掛金から控除され、その分の権利が消滅します。延滞には年14.6%の違約金。条件面の把握は必須です。

 

5. 掛金の増減・前納ができる

 

業況に合わせて掛金を増減したり、前納で早めに損金算入する設計も可能です(※減額には一定の理由が必要)。

倒産防止共済のデメリット

 

1. 12カ月未満は掛け捨て

自己都合解約で12カ月未満だと解約手当金はゼロ。短期前提の加入は不向きです。

 

2. 加入には「1年以上の事業継続」が必要

創業1年未満は原則加入できません(法人成り等の通算要件あり)。

 

3. 解約手当金は課税対象

過去に損金(必要経費)算入している掛金は、解約手当金の受取時に益金(収入)計上が必要。

 

4. 再加入時の損金算入が制限(2024改正)

2024年10月1日以降に解約して再加入した場合、解約日から2年間の掛金は損金・必要経費に算入不可

 

5. 倒産の態様により借入不可のケースあり

「夜逃げ」等の法的整理を伴わないケースは共済金貸付の対象外になり得ます。

 

6. 医療法人設立時は解約になる

医療法人は加入資格がないため、設立時には解約したうえで戻ってきた資金が収入になるので注意が必要

 

まとめ

 

 

倒産防止共済は、

  • 無担保・無保証で最大8,000万円まで借入可能

  • 掛金は損金(必要経費)算入で資金留保と税負担平準化に有効

  • 一時貸付金で平時の資金繰りにも使える

一方で、

  • 12カ月未満の解約は掛け捨て

  • 解約手当金は課税

  • 2024年改正で再加入時の損金算入が一部不可
    といった注意点があります。

制度の趣旨と税務を理解した上で、長期目線の設計が肝心です。

特に医療法人設立時には解約が必要になり解約手当金が一時に収入にあがってきます。

そういった点も含めて医科・歯科クリニックは加入の検討が必要です。

弊所では倒産防止共済についてのアドバイスも行っております。

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