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クリニックや診療所を経営している医師の方からよくいただくご相談のひとつが「そろそろ医療法人化した方が良いのか?」というものです。
医療法人化には多くのメリットがありますが、一方で注意すべきデメリットも存在します。
本記事では、税理士の立場から 医療法人化のメリットとデメリットを分かりやすく解説 いたします。
医療法人化とは、個人事業として運営していたクリニックや診療所を「法人格(医療法人)」として運営することを指します。
株式会社などの営利法人とは異なり、医療法人は公益性を重視した法人形態です。
個人事業主の場合、所得が増えるほど最大45%の累進課税がかかります。
一方、医療法人にすると法人税率は中小法人ならおおむね23%前後に抑えられるため、一定以上の利益が出ている場合は節税効果が大きいです。
法人化すると、医師ご本人だけでなく役員として経営に参画する配偶者や親族に報酬を支払うことが可能になります。
その結果、一人に所得が集中して累進課税で高い税率になるより、所得を分散させて全体の税負担を軽くできるケースがあります。
個人事業では退職金制度がありませんが、医療法人なら役員退職金を設定できます。
退職金は損金として計上できるため、退職所得による所得税計算が可能になります。
法人化すると強制的に社会保険に加入する必要があります。
事業主や家族も健康保険・厚生年金に加入できるため、老後の年金額が増える点は大きなメリットです。人材獲得力にもつながります。
医療法人を設立するには都道府県知事の認可が必要で、手続きが複雑です。
また、法人維持のために会計・税務・登記などのコストが増えます。
医療法人は「非営利法人」であるため、株式会社のように自由に利益を配分できません。
配当はできず、事業目的以外に利益を流用できない点は要注意です。
収支状況を都道府県に届け出る必要があります。この届け出た収支状況は誰でも閲覧可能になります。
法人化により社会保険に加入すると、保険料は法人と役員が折半します。
そのため、短期的にはコスト増加につながることもあります。
年間課税所得が1,500万円を超えている
今後も診療所の規模拡大を予定している
将来的に退職金制度を活用したい
配偶者や親族に役員報酬を支払い、所得分散をしたい
これらに当てはまる場合は、医療法人化の検討をおすすめします。
医療法人化には、節税や退職金制度、社会保険加入など多くのメリットがありますが、同時に設立コストや承継の制約、社会保険料負担増といったデメリットもあります。
クリニックの規模や将来の展望に応じて、総合的に判断することが重要です。
もし「医療法人化すべきかどうか迷っている」という場合は、ぜひ専門の税理士にご相談ください。
当事務所では、これまで多数の医療法人設立や運営をサポートしてきた実績があります。
医療法人化に関するご相談はお気軽にお問い合わせください。